昨今、働き方改革が進められ、時間外労働の時間の上限引き下げ等が段階的に行われております。

そうした中で、これまで月100時間以上も時間外労働をしていたトラック運転手や建設業、医師といった人たちが今年2024年4月から上限規制が適用され、急に休日・余暇が増えたというケースが見受けられます。

そこで問題となるのが、果たして仕事は回るのかということ...

今後、休日に職場から連絡があり、急な対応をしなければならないといったことが生じることでしょう。

そんな休日の対応を”ガン無視”した者に対して減給制裁はできるのかということについて解説していきたいと思います。

結論:減給できる!!

早速ですが、減給制裁はできます。

しかし、休日労働と減給制裁の両方について労働契約や就業規則等で定めていることが必要です。

労働契約と就業規則は労働者への事前周知が必ずなされていなければなりません。

ということは、労働者本人も休日労働も減給制裁もありうることを知り得ているということになります。

知っているうえで拒否するということは、会社からの業務命令を拒否することとなり、業務命令違反として減給や懲戒処分を受ける可能性があります。

減給の額

減給ができるといってもその制限額が法律で決まっています。

注意事項として、雇用契約や就業規則等で減給制裁の額を事前に定めることは違法です。

具体的な額を定めず、減給自体はあるということを定めることは可能です。

法律における減給制裁の制限額は次の通りです。

1回の事案に対して平均賃金の1日分の半額以内
1賃金支払期に発生した複数事案に対する減給総額は、賃金支払期における賃金総額の10%以内

例えば月給30万円であれば5000円までということになります。

5000円以上の減給制裁は違法となります。

たとえ休日出勤の命令を無視したことで、会社に損害が1000万円生じたとしても、減給制裁をするのであれば5000円までです。

このように、会社に損害が出るような場合は、降格といった処分も視野に入れるべきでしょう。

できないケースもある

上記のように雇用契約や就業規則等での根拠があればできますが、それらがなければできません。

休日労働について知らされていないのに、急な呼び出しを食らったらそれは休日の自由の侵害になりますよね。

事前周知がしっかりとなされているか否かで「できる・できない」が変わってきます。

雇用契約に記載がない場合

雇用契約書に「休日出勤を命じることができる」ことが定められており、その内容が合理的であれば会社は労働者に対して休日出勤を命じることができます。

つまり、この記載がない場合はできません。

休日労働や減給の制裁は無くても良いものですので、雇用契約書に記載しなくてはならないものではありません。

しかし、雇用契約書に上記の記載がなくても、後述の就業規則に記載があれば適用され、会社の休日出勤命令も減給制裁も認められます。

会社と個人が交わす雇用契約よりも、会社と事業所が交わす就業規則の方が効力が強くなるためです。

就業規則に記載がない場合

就業規則とは常時10人以上労働者を使用する事業所で作成義務が課されています。
(10人未満の事業所でもあるところはあります。)

そして、その事業所で働く労働者全体に効力が及びます。

雇用契約と違い、個人ではなく集団に対して効力が発生するため、就業規則は雇用契約よりも強くなります。

就業規則にて休日労働や減給制裁についての記載があるのであれば、休日出勤の拒否は認められず、減給制裁も避けられないでしょう。

また、就業規則に記載がなくても、労働組合の組合員であり、労働協約に記載があれば会社の休日出勤命令も減給制裁も認められます。

36協定がない場合

そもそもですが、休日労働は36協定がなければさせてはダメです。

36協定は締結した上で、労働基準監督署に届け出をすることで効力が発生します。

36協定がないまま休日労働をさせた場合は違法となり、使用者は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金となります。

権利濫用や合理性に欠ける場合

雇用契約や就業規則にも記載されており、36協定もあるとしても、不当な休日出勤命令は無効となります。

この際にみられるのは、

  • 業務上の必要性の有無
  • 目的に不当性がないか
  • 労働者への就業上・生活上の不利益の程度

です。

つまり、「業務上必要がない出勤命令なら拒否OK」「他の不当な動機・目的があれば拒否OK」「冠婚葬祭などで休んでいる場合は拒否OK」ということになります。

休日出勤における割増賃金など

労働者側からすると、もともと休日とされていたにも関わらず出勤するわけですから、そりゃあ嫌ですよね。

ということで会社側は割増賃金(休日手当)を支給する義務があります。

法定休日に労働した場合

法定休日とは労働基準法で定められている休日です。そのルールは次の通りです。

毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない
または
4週間を通じ4回以上の休日を与えなければならない

このルールによって与えられた休日に出勤した場合は35%以上の割増賃金が必要となります。

また、金曜日が就業日で土曜日が法定休日というケースで、金曜日の残業が日をまたいだ場合、0時以降の時間も休日労働となり、深夜割増の25%に加え、休日労働の割増35%が上乗せされ、計60%が上乗せされます。

所定休日に労働した場合

法定休日とは異なり、所定休日は会社ごとに異なる休日であり、会社が自由に決められる休日です。

この所定休日に労働させたとしても、割増賃金は支払う必要はありません。

しかし、所定休日に労働したことで、法定労働時間(原則1日8時間、週40時間)を超えた場合は割増賃金25%以上が必要となります。

振替休日による調整(事前に休む)

振替休日とは、業務の都合によりあらかじめ休日と定められた日を労働日とし、その代わりに他の労働日を休日とすることです。

振替休日をするには要件があります。

  • 就業規則等で休日の振替ができる旨の規定を設けていること
  • 休日を振り返る前にあらかじめ振り返るべき日を特定すること
  • 4週間を通じ4日以上の休日が確保されていること

振替休日とした場合は、休日労働を行ったとしても割増賃金は発生しません。

事前に休日と労働日を入れ替えるわけですから、時間的な余裕と同意の効力が高まるためですね。

ただし、労働時間を振り替えたことで、その週の労働時間が1週間の法定労働時間を超えた場合は、割増賃金が発生します。

振替休日はあくまで休日労働をするよりも前に労働日と休日を入れ替えることなので、休日労働をした後に、その後の労働日を休みにすることは振替とはなりません。

これは後述の代休にあたります。

代休による調整(事後に休む)

代休とは振替休日の手続きを取らず、休日労働を行った後にその代償としてその後の労働日を休みとすることです。

この場合、休日労働をさせた日は割増賃金が発生します。

まとめ

時間外労働時間の上限時間引き下げに伴う問題として、今後休日出勤を余儀なくされることが増えてくるのかと思われます。

休日は労働者の権利ということで、休日の出勤命令を拒否するということは会社秩序を乱しかねないことから認められないというケースが多いです。

しかし、そのためには雇用契約や就業規則、36協定が必要です。

これらがしっかりと整備され、労働者に周知がなされているのであれば、休日の出勤命令は認められ、減給制裁も可能ということになります。

また、出勤命令が不当でないか、合理的か否かによってもその結論は変わってきます。

もし、不当な出勤命令や減給制裁、懲戒処分等を受けたのであれば、ご相談ください。

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