目次
  1. いま企業が直面する「年収の壁」と人手不足
    1. 中小企業を悩ませる「130万円の壁」とは?
    2. なぜ短時間労働者が増えているのか
    3. 労働時間を延ばせない“もどかしさ”
  2. 新設!「短時間労働者労働時間延長支援コース」とは
    1. 制度の概要と創設の背景
    2. 他の助成金との違いと位置づけ
    3. 誰が・どのように対象になるのか
  3. 最大75万円!助成金の金額と支給の条件
    1. 1年目:最大50万円、2年目:最大25万円
    2. 助成額は小規模・中小・大企業で異なる
    3. 2年目の追加支給要件も見逃すな!
  4. 助成対象となる「短時間労働者」の具体例
    1. 該当する労働者はどんな人?
    2. 社会保険に未加入だった人が鍵
    3. “6ヶ月以上継続雇用”という重要ルール
    4. 対象労働者のチェック表
  5. 実際に助成金をもらうまでの流れ
    1. キャリアアップ計画書の提出期限に注意
    2. 社会保険加入から申請までのタイムライン
  6. 注意点と申請時の落とし穴
    1. 事前計画なしではもらえない
    2. 対象者の条件を正しく見極めよう
    3. 他コースとの併用・切替はどうする?
  7. 熊本の中小企業がこの助成金を活用すべき理由
    1. 人手不足・労務コスト対策の一手に
    2. パート・アルバイトの戦力化が加速する
    3. 社会保険加入による職場の安定化メリット
    4. 助成金の活用モデル
  8. まとめ:早めの準備が助成金成功のカギ!
    1. 「対象者の洗い出し」から始めよう
    2. 専門家に相談すべき3つの場面
    3. チャンスを逃さず“攻めの人材戦略”を

いま企業が直面する「年収の壁」と人手不足

中小企業を悩ませる「130万円の壁」とは?

「130万円の壁」とは、パート・アルバイトなど短時間労働者が年収130万円を超えると、扶養から外れ、自身で社会保険に加入する必要が出てくるという制度上のハードルです。この壁を超えることで、社会保険料の負担が発生し、手取りが減るため、就労時間を増やさない選択をする労働者が多くいます。

令和7年7月に新設された「短時間労働者労働時間延長支援コース」は、人手不足の解消と“年収の壁”対策を両立できる制度です。
最大75万円の助成金がもらえるチャンス、まずは対象者がいるかチェックしてみましょう!

なぜ短時間労働者が増えているのか

労働力不足が続く中、多くの企業では短時間労働者を積極的に雇用する傾向にあります。特に育児や介護との両立を希望する労働者にとって、柔軟な働き方ができる短時間勤務は魅力的です。しかし、労働時間を増やしたくても「年収の壁」によって就労拡大が制限されているのが現実です。

労働時間を延ばせない“もどかしさ”

企業側にとっては、意欲的に働いてくれる人材にもっと働いてもらいたいと考えるものの、労働者が壁を意識して時間をセーブするため、結果的に人手不足が解消されないというジレンマが生じています。


新設!「短時間労働者労働時間延長支援コース」とは

制度の概要と創設の背景

2025年7月、キャリアアップ助成金に「短時間労働者労働時間延長支援コース」が新設されました。本制度は、短時間労働者の労働時間を延ばし、社会保険への加入と賃金アップを行う事業主に対して、最大75万円を助成するというものです。

他の助成金との違いと位置づけ

本コースは「年収の壁」対策を明確に打ち出した新設コースであり、既存の社会保険適用時処遇改善コースに近い性質を持ちながらも、労働時間の延長という明確な取組みに着目している点が特徴です。

誰が・どのように対象になるのか

対象となるのは、労働時間が短く社会保険に加入していなかった労働者を、労働時間延長と社会保険加入によって処遇改善した企業です。具体的には「加入前6か月以上継続雇用されていた」かつ「社会保険加入条件を満たすように変更された」労働者が対象となります。


最大75万円!助成金の金額と支給の条件

1年目:最大50万円、2年目:最大25万円

1年目に労働時間を延ばし社会保険加入+賃金5%以上増額した場合、小規模企業では1人あたり最大50万円の助成が受けられます。2年目も継続して処遇改善を行えば、さらに25万円が追加支給され、合計75万円となります。

助成額は小規模・中小・大企業で異なる

  • 小規模企業:1年目50万+2年目25万 合計75万
  • 中小企業 :1年目40万+2年目20万 合計60万
  • 大企業  :1年目30万+2年目15万 合計45万
https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001512828.pdf

2年目の追加支給要件も見逃すな!

2年目の支給には、再度の賃金アップや労働条件の継続改善が求められます。初年度で終わりではなく、継続的な処遇改善が支給のカギとなります。


助成対象となる「短時間労働者」の具体例

該当する労働者はどんな人?

  • 社会保険加入前の6か月以上継続雇用
  • 加入前は社会保険の適用外労働時間(例:週15時間など)で勤務

社会保険に未加入だった人が鍵

助成金受給の前提として、社会保険に未加入だった労働者を加入させることが鍵です。社会保険に既に加入していた人は対象外となるため、対象者の見極めが非常に重要です。

“6ヶ月以上継続雇用”という重要ルール

新規採用者ではなく、6ヶ月以上継続して勤務している労働者が条件となる点もポイントです。長期的な雇用関係にある人材の処遇改善が求められています。

対象労働者のチェック表

https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001512828.pdf

実際に助成金をもらうまでの流れ

キャリアアップ計画書の提出期限に注意

社会保険加入から申請までのタイムライン

1.キャリアアップ計画書を提出
2.労働時間延長+社会保険加入
3.6ヶ月間雇用継続
4.6ヶ月経過後2ヶ月以内に支給申請

https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001512828.pdf

この流れを誤ると、支給対象から外れてしまうため、日付管理が極めて重要です。


注意点と申請時の落とし穴

事前計画なしではもらえない

キャリアアップ計画書を提出せずに取り組みを始めた場合、たとえ条件を満たしても助成金は受給できません。必ず”事前”に計画書を出しましょう。

対象者の条件を正しく見極めよう

「社会保険加入6ヶ月前からの継続雇用」、「過去2年以内に社会保険に加入していなかった」など、細かな条件が多数あります。漏れのないチェックが不可欠です。

他コースとの併用・切替はどうする?

現在「社会保険適用時処遇改善コース」を活用している場合、本コースへの切替が可能です。その際、新たな計画書提出は不要となっています。


熊本の中小企業がこの助成金を活用すべき理由

人手不足・労務コスト対策の一手に

パート・アルバイトの戦力化が加速する

熊本県内でも特に人手不足が深刻なサービス業・福祉業界において、短時間労働者の戦力化は重要な経営課題です。助成金を活用することでコスト負担を抑えつつ対応できます。

本助成金を活用すれば、「もう少し働けるのに…」と感じているパートスタッフに対して、積極的に処遇改善でき、モチベーションアップにもつながります。

社会保険加入による職場の安定化メリット

社会保険加入によって、従業員の安心感が増し、定着率向上にも寄与します。単なるコストではなく、長期的な組織強化にもつながる取り組みです。

助成金の活用モデル

たとえば、熊本市内の小規模な飲食店のケースでは、週18時間勤務のパート2名を週22時間に増やし、社会保険に加入。助成金合計150万円を活用し、労務コストを抑えながらサービス提供時間1.5倍拡大が見込めます。


まとめ:早めの準備が助成金成功のカギ!

「対象者の洗い出し」から始めよう

まずは社内にいる短時間労働者のうち、社会保険の加入条件に届きそうな人材を確認しましょう。

専門家に相談すべき3つの場面

1.対象者の判定が不明確なとき
2.計画書作成に不安があるとき
3.助成金の併用や切替を検討しているとき

チャンスを逃さず“攻めの人材戦略”を

この制度は、労務戦略の転換点となるチャンスです。助成金を単なる補助金ではなく、“人材戦略の一環”として積極的に活用しましょう。


社会保険労務士井手OFFICEでは、本助成金のご相談を初回無料で承っております。お気軽にご相談ください。

📞 0120-997-510(熊本市水道町)